勘定科目内訳書の作成方法と記載例|決算時に必要な勘定科目内訳書の書き方と注意点

会社設立後、初めての決算を迎える際や、毎年の決算時に必ず作成・提出が求められる書類のひとつが「勘定科目内訳書」です。勘定科目内訳書は、法人税申告書に添付する重要な書類であり、税務調査や申告内容の確認の際にも活用されます。本記事では、勘定科目内訳書の基本的な作成方法、記載例、そして作成時の注意点について、国税庁等の公的情報をもとに詳しく解説します。

勘定科目内訳書とは、貸借対照表や損益計算書の各勘定科目について、その内訳を明らかにするための書類です。たとえば、「預貯金」「売掛金」「買掛金」「借入金」などの主要な勘定科目ごとに、取引先や内容、金額などの詳細を記載します。これにより、決算書の信頼性を高め、税務署が内容を確認しやすくなります。

  • 法人税の確定申告時(原則、毎事業年度ごとに提出が必要)
  • 税務調査時における取引内容の説明
  • 金融機関等への決算書提出時

国税庁が公開している標準フォームによれば、主な内訳書は以下の通りです23

勘定科目内訳書の種類主な記載内容
預貯金等の内訳書金融機関名、支店名、口座番号、期末残高、名義人など
受取手形の内訳書振出人、期日、金額、備考など
売掛金(未収入金)の内訳書相手先名、所在地、金額、回収予定日など
仮払金・前渡金の内訳書支払先、金額、内容、精算予定日など
買掛金(未払金・未払費用)の内訳書支払先、金額、支払予定日など
借入金及び支払利子の内訳書借入先、金額、利率、返済予定日など
固定資産の内訳書種類、用途、面積、所在地、期末残高など

1. 標準フォームの利用

国税庁のホームページから最新の標準フォーム(Excel形式等)をダウンロードし、必要事項を入力します。e-Taxで電子申告する場合も、これらの形式に準拠したデータ作成が求められます。

2. 各項目の記載方法

それぞれの内訳書には、記載すべき項目や文字数制限などのルールがあります。たとえば、「預貯金等の内訳書」では以下のように記載します4

  • 金融機関名(全角11文字以内)
  • 支店名(全角11文字以内)
  • 種類(普通・当座など、全角10文字以内)
  • 口座番号(半角14文字以内)
  • 期末現在高(半角16文字以内)
  • 名義人(法人名と異なる場合は必ず記載)

3. 記載例

【預貯金等の内訳書 記載例】

金融機関名支店名種類口座番号期末現在高摘要
A銀行本店営業部普通12345675,000,000名義人:株式会社X
B信用金庫東支店当座98765431,200,000

【売掛金の内訳書 記載例】

相手先名所在地金額回収予定日摘要
株式会社C東京都中央区1-2-3800,0002025年4月30日

※実際の記載内容は、各社の取引内容に応じて適切に変更してください。

  • 正確な情報の記載:取引先名や口座番号、金額などは誤りのないように記載します。誤記載は税務調査時の指摘対象となります。
  • 名義人の記載:預貯金等で法人名義以外の口座が含まれる場合、必ず名義人を明記する必要があります。
  • 100件を超える場合の省略:記載すべき口数が100口を超える場合は、金額の多い順に100口まで記載すれば差し支えありません。
  • 電子申告の義務化:一定規模以上の法人は、e-Taxによる電子申告が義務付けられています。紙での提出が認められない場合があるため、注意が必要です。
  • 様式の最新化:国税庁のホームページで最新の様式を確認し、年度ごとに適切なフォームを使用してください。
  • 摘要欄の活用:取引内容や特記事項がある場合は、摘要欄に具体的に記載しましょう。

勘定科目内訳書は、法人税申告において必須の書類であり、正確かつ詳細な記載が求められます。国税庁の標準フォームを活用し、各勘定科目ごとの記載ルールや注意点を守って作成することが重要です。特に、名義人の記載や100件超の場合の対応、電子申告への対応など、最新の公的情報を確認しながら進めましょう。正しい勘定科目内訳書の作成は、会社の信頼性向上と税務リスクの回避につながります。