マイクロ法人の現金・預金管理と仕訳のポイント~管理方法と入出金の仕訳実例~

マイクロ法人は、役員や従業員が1~2名程度の小規模法人を指し、資金管理や会計処理の効率化が経営の安定に直結します。特に現金・預金の適切な管理と正確な仕訳は、法人の信頼性確保や税務リスク回避のために欠かせません。本記事では、マイクロ法人の現金・預金管理の基本から、実務で役立つ仕訳例までを詳しく解説します。国税庁などの公的情報を参考に、正確な知識を身につけていきましょう。

現金や預金は、法人の資産の中でも最も流動性が高く、日々の取引で頻繁に出入りします。現金・預金の管理が不十分だと、資金繰りの悪化や不正リスク、税務調査時の指摘につながる恐れがあります。現金出納帳や預金出納帳を日々記帳し、帳簿残高と実際の残高が一致しているか定期的に確認することが重要です。

  • すべての現金取引、預金取引を記録する帳簿
  • 資金の流れを可視化し、不正やミスを早期発見
  • 税務申告や決算書作成の根拠資料となる
  • 記帳は取引発生の都度、もしくは毎日行う
  • 領収書や請求書など証憑類を整理・保管(電子保存も有効)
  • 月末や週末に現金実残高と帳簿残高を必ず照合
  • 預金についても通帳残高と帳簿残高を定期的に確認

1. 記帳方法

会計ソフトや表計算ソフトを活用すると、初心者でも効率的に記帳できます。現金出納帳・預金出納帳には、取引日、取引内容、金額、勘定科目、相手先などを記載します。

2. 領収書・証憑管理

領収書やレシートは経費の証明となるため、整理ルールを決めて保管しましょう。電子帳簿保存法に基づき、電子データでの保存も認められています(国税庁)。

3. 定期的な残高照合

帳簿残高と実際の現金・預金残高が一致しているか、月次・週次でチェックします。差異があれば原因を特定し、早期に修正します。

1. 現金と預金の入出金

取引内容借方貸方金額摘要
現金10万円を普通預金に預け入れ普通預金現金100,000円現金預入
普通預金から現金10万円を引き出し現金普通預金100,000円現金引出

2. 事業経費の現金支払い

取引内容借方貸方金額摘要
パソコン30万円を現金で購入備品現金300,000円パソコン購入
プリンター2万円を現金で購入消耗品費現金20,000円プリンター購入

※10万円未満の資産は原則として費用処理、10万円以上は資産計上が原則です。

3. 会社設立時の資本金入金

取引内容借方貸方金額摘要
資本金100万円を個人口座から法人口座へ普通預金預け金1,000,000円資本金入金
資本金の一部を設立費用で使用後、残額を法人口座へ普通預金預け金940,000円資本金残額入金

4. 代表者立替費用の精算

取引内容借方貸方金額摘要
登録免許税6万円を代表者が立替え、後日精算役員借入金普通預金60,000円立替費用精算

5. 領収書・証憑の管理

  • 領収書やレシートは、日付順や取引先別にファイリング
  • 電子データとして保存する場合、ファイル名や保存先を明確に管理
  • 決算時には、未払費用や前払費用などの決算整理仕訳も必要
  • 現金・預金の残高が帳簿と一致しているか必ず確認
  • 証憑類の保存義務(原則7年間)を遵守

たとえば、マイクロ法人「B合同会社」では、代表者が設立時に100万円を個人口座から法人名義口座へ移し、登録免許税6万円を立替払いしました。設立後、法人口座から代表者へ立替分を精算し、残額を通常の事業資金として管理しています。日々の現金・預金の動きは、会計ソフトで記帳し、月末には必ず帳簿残高と通帳・現金実残高を照合しています。領収書は電子データで保存し、税務調査にも備えています。

マイクロ法人の現金・預金管理は、日々の記帳と証憑管理、定期的な残高照合が基本です。仕訳は会計ソフト等を活用し、取引ごとに正確に記録しましょう。設立時や日常の経費精算、決算整理仕訳など、状況ごとに適切な勘定科目を選ぶことが重要です。国税庁など公的情報を参考に、帳簿・証憑の保存義務も忘れずに対応してください。正しい現金・預金管理を徹底し、マイクロ法人の健全な経営につなげましょう。