会社ホームページやSNS運用時の法的注意点

会社設立後、ホームページやSNSを活用した情報発信は、現代ビジネスにおいて欠かせないものとなっています。しかし、インターネット上での情報発信には、思わぬ法的リスクが潜んでいます。この記事では、会社ホームページやSNS運用時に注意すべき主な法的ポイントを、行政書士の視点からわかりやすく解説します。正しい知識を持って、安全かつ効果的な運用を目指しましょう。


1. 著作権の遵守

ホームページに掲載する文章、画像、動画、音楽などには著作権が発生します。他人の著作物を無断で使用すると、著作権侵害となり、10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金が科される可能性があります。特に外部制作会社にホームページ作成を依頼した場合、著作権が制作会社側にあることが多いため、著作権譲渡契約を結ぶことが重要です。また、フリー素材を利用する際も、利用規約やライセンス条件を必ず確認しましょう。

2. 不正競争防止法への配慮

自社と酷似したホームページを第三者が作成し、営業活動を行っている場合、不正競争防止法に基づき差止請求が可能です。自社のブランドや信用を守るためにも、他社のホームページデザインや内容を模倣しないよう注意が必要です。

3. 決算公告の掲載義務

株式会社などでは、決算公告をホームページで行う場合、貸借対照表などの決算書類を全文掲載しなければなりません。また、公告用ホームページのURLは法務局で登記が必要であり、変更時も登記手続きが必要です。掲載期間は承認後5年間と定められています。


1. 著作権・肖像権の確認

SNSで使用する画像・動画・音楽などの素材は、商用利用が可能か、利用規約やライセンス条件を必ず確認しましょう。また、人物が写っている写真や動画は、全員の同意を得てから投稿します。未成年が含まれる場合は保護者の承諾も必要です。

2. 個人情報・プライバシーの保護

SNS投稿を通じて個人情報を扱う場合、個人情報保護法に基づく適切な管理が求められます。個人を特定できる情報や、Cookie等による個人関連情報の取り扱いにも注意し、第三者提供時には必ず本人の同意を得ましょう。

3. 企業イメージと情報セキュリティ

SNSの公式アカウントは企業の顔です。不用意な発言や、ブランドイメージを損なう投稿は控えましょう。また、アカウント情報(ID・パスワード)の厳重な管理や、サービス規約の遵守も不可欠です。アカウント乗っ取りなどによる被害が発生すると、企業イメージに大きなダメージを与える恐れがあります。


  • ある企業が、ネット上で見つけたイラストを自社ホームページに無断掲載したところ、著作権者から削除と損害賠償を求められました。フリー素材であっても、商用利用不可やクレジット表記義務がある場合があり、利用規約を確認していなかったことが原因です。
  • SNS担当者が、イベント写真を投稿した際、写り込んでいた一般来場者から肖像権侵害の指摘を受け、投稿削除と謝罪対応を求められました。事前に同意を得ることの重要性が再認識されました。

  • 著作権・肖像権・個人情報に関するガイドラインを整備し、運用担当者に周知徹底する
  • 投稿前のチェックリストを作成し、素材の権利関係や同意取得状況を確認する
  • トラブル発生時の対応フローを明確にし、迅速な対応ができる体制を構築する
  • 新任担当者や外部スタッフへの研修を定期的に実施する

会社ホームページやSNSの運用には、著作権・肖像権・個人情報保護など、さまざまな法的リスクが潜んでいます。正しい知識と社内体制を整えることで、トラブルを未然に防ぎ、安全かつ効果的な情報発信が可能となります。疑問点や不安がある場合は、専門家である行政書士などに相談することをおすすめします。