事業開始後に必要な許認可・届出一覧と取得のポイント

会社や個人事業主として新たに事業を始める際、「どんな許認可や届出が必要なのか?」という疑問は多くの方が抱えるものです。許認可や各種届出は、事業の種類や規模によって異なり、手続きを怠ると営業ができないだけでなく、罰則や融資不可といった大きなリスクも生じます。本記事では、事業開始後に必要な主な許認可・届出の種類と取得ポイントを、最新の法令や公的機関の情報をもとにわかりやすく解説します。

許認可とは?

「許認可」とは、特定の事業を行うために行政機関から取得しなければならない許可や認可、登録、届出、免許などの総称です。事業内容によっては、これらの手続きを経なければ営業ができません。

許認可の主な種類

区分概要・例申請先
届出行政機関への通知で完了。例:美容業、理容業保健所、市区町村など
登録名簿登録が必要。例:旅行業、ペットショップ国土交通省、都道府県など
認可一定基準を満たすことが必要。例:警備業警察署、公安委員会など
許可公共の安全等の理由で個別に許可。例:飲食業、建設業保健所、都道府県など
免許資格取得者に限定。例:不動産業、酒類販売都道府県、国税庁など

1. 税務関係の届出

  • 個人事業の開廃業等届出書:事業開始から1ヶ月以内に税務署へ提出。
  • 青色申告承認申請書:青色申告を希望する場合、事業開始から2ヶ月以内または3月15日までに提出。
  • 給与支払事務所等の開設届出書:従業員を雇う場合、開設から1ヶ月以内に提出。
  • 消費税課税事業者選択届出書:課税事業者を選択する場合、課税期間の初日の前日までに提出。

2. 社会保険・労働保険関係

  • 健康保険・厚生年金保険 新規適用届:法人や従業員を雇用する場合、年金事務所へ。
  • 労働保険(労災・雇用保険)適用届:労働基準監督署、ハローワークへ。

3. 業種ごとの主な許認可

業種許認可の種類申請先主なポイント・要件
飲食業許可保健所食品衛生責任者の設置、施設基準
建設業許可都道府県/国交省資本金や経営業務管理責任者など
旅行業登録国交省/都道府県営業保証金、管理者の選任
美容業・理容業届出保健所有資格者の配置、施設基準
人材紹介・派遣業許可労働局資本金・専任者・設備要件
不動産業免許都道府県/国交省宅建士の専任配置
警備業認可警察署指導教育責任者の配置
運送業許可運輸支局車両・人員・資金要件

1. 事前調査とスケジュール管理

  • 許認可は業種ごとに要件や必要書類、審査期間が異なります。事前に行政機関のWebサイトや窓口で最新情報を必ず確認しましょう。
  • 許認可取得までに数週間~数ヶ月かかる場合もあるため、事業計画に余裕を持ったスケジュールを立てることが重要です。

2. 申請書類の準備

  • 会社設立後に必要な「登記簿謄本」「定款」などの書類が求められるケースが多いです。
  • 施設や設備、人員、資本金などの要件を満たしているか事前にチェックしましょう。

3. 許認可取得前の営業は厳禁

  • 無許可営業は刑事罰の対象となる場合があり、罰金や営業停止などのリスクがあります。
  • 許認可証の写しがなければ融資が受けられない、取引先と契約できないなど、事業運営にも大きな影響が出ます。

4. 法改正や最新情報への対応

  • 許認可の要件や申請先は法改正等で変わることがあるため、必ず最新情報を行政機関の公式サイトで確認しましょう。

例えば、飲食店を開業したAさんは、保健所での「飲食店営業許可」取得後、深夜営業を予定していたため警察署で「深夜酒類提供飲食店営業開始届」を提出しました。許可証が揃ったことで、金融機関からの創業融資もスムーズに受けることができました。

事業開始後に必要な許認可・届出は、事業内容や規模によって多岐にわたります。必要な手続きを怠ると営業ができないだけでなく、罰則や資金調達不可といった大きなリスクが伴います。まずは自分の事業にどの許認可・届出が必要かを正確に把握し、行政機関の公式情報をもとに早めに準備を進めましょう。疑問があれば行政書士などの専門家に相談するのも有効です。