会社設立時の「公告方法」を定款で正しく定めるには?官報・電子公告・日刊新聞紙の違いを徹底解説

会社設立の際には、「公告方法」を定款に定める必要があります。公告は会社の重要な情報を広く社会に知らせる制度であり、正しく選択・記載することで、法的リスクを回避し、円滑な事業運営につなげることができます。本記事では、官報・電子公告・日刊新聞紙という代表的な公告方法の概要と違い、定款への記載例、選び方のポイントについて、最新の公的情報をもとにわかりやすく解説します。

株式会社などの法人が選択できる公告方法は、主に「官報公告」「日刊新聞紙公告」「電子公告」の3種類です。

  • 官報公告 
    官報とは日本政府が発行する公式な公報媒体で、最も一般的な公告方法です。定款で公告方法を定めていない場合、原則として官報による公告となります。
  • 日刊新聞紙公告 
    特定の新聞紙(全国紙や地方紙など)に情報を掲載する方法です。新聞の具体的な名称や発行地域も定款に記載する必要があります。
  • 電子公告 
    インターネットを活用して自社のウェブサイト等に情報を公開する方法です。近年ではコストや拡散力の面から選ばれることが増えていますが、公告用URLは登記所で登記が必要です。

公告方法は登記事項にもなり、会社運営の透明性と信頼性を高めます。法的には「絶対的記載事項」ではありませんが、定款に明記することで明確に運営ルールを定められます。特に電子公告や新聞公告を採用するときは定款での明示が必須です。

公告方法費用掲載範囲定款記載例備考
官報公告比較的安価全国(官報購読層中心)「当会社の公告は官報に掲載する方法により行う。」原則方法/掲載内容審査あり
新聞公告やや高額指定新聞の読者層「当会社の公告は〇〇新聞に掲載する方法により行う。」地域新聞指定も可能
電子公告低コストインターネット上「当会社の公告は電子公告により行う。」事故時は官報等併記が推奨

官報公告の場合

「当会社の公告は官報に掲載する方法により行う。」と記載します。

新聞公告の場合

「当会社の公告は〇〇新聞に掲載する方法により行う。」
「当会社の公告は〇〇県で発行される〇〇新聞に掲載する方法により行う。」と新聞名や地域まで明記できます。

電子公告の場合

「当会社の公告は電子公告により行う。」
また、システム障害などの予備措置として「当会社の公告は電子公告により行う。ただし、事故その他やむを得ない事由によって電子公告による公告をすることができない場合は、官報に掲載する方法により行う。」などと記載するのが一般的です。

公告方法は後から定款変更して切り替えることも可能です。変更時は定款変更のほか、登記所での登記申請が必要で、とくに電子公告を選ぶ場合は公告ホームページのURL登記も求められます。会社法により、定めた公告方法は年次の決算広告など公式な情報公開にも使われます。

例:東京都で設立された「株式会社サクラ」は、コスト重視で電子公告を選択しました。やむを得ず電子公告ができない場合は官報公告に切り替えられるよう、予備的な記載を定款に追加。これにより、法的なリスク管理と情報の伝達性を両立できました。

公告方法の選択は、会社設立時の大切なポイントです。官報公告は安定性・信頼性が高くオーソドックスですが、電子公告や新聞公告も場面によって有効です。会社の規模や予算、告知の目的に合わせて、最適な公告方法を定款で定めてください。最新の法務省など公的情報を参考に、誤解のない定款づくりを心がけましょう。