会社解散決議に必要な株主総会の進め方

会社の解散には、法的に定められた手続きが求められます。その中心となるのが「株主総会での解散決議」です。会社の運営に終止符を打つ大切な場であるため、正確かつスムーズな進行が不可欠です。本記事では、行政書士の立場から、解散決議に必要な株主総会の進め方について、公共機関や政府関連サイトの情報をもとにわかりやすく解説します

会社を解散するには、株主総会にて「解散決議」を行う必要があります。これは定時株主総会または臨時株主総会で行うことができ、その多くは臨時株主総会で実施されます

決議には特別決議が必要であり、議決権を有する株主の過半数が出席し、出席した株主の議決権の3分の2以上の賛成が要件となります

1. 取締役会での招集決定

取締役会設置会社の場合、まず取締役会で株主総会の日時や場所、議題(今回は「解散」)を決定します

2. 株主への招集通知

株主総会の開催通知は、原則として開催日の2週間前まで(譲渡制限会社は1週間前まで)に発送します。内容には日付、場所、議題、議決権行使に関する方法などを明記します

3. 総会当日の事前準備

会場設営や、議事進行手順の確認、想定問答集(株主からの質問対策)を準備しておきます。書面や電子的な議決権行使がある場合は、その集計も行います

  1. 受付・株主確認
     招集通知や委任状で確認を行います。
  2. 開会宣言・議長選任
     通常は代表取締役または指名された取締役が議長となります
  3. 議事録署名人の選任
     会議の内容を正確に記録する議事録署名人を選任します。
  4. 株主数および議決権数の報告
     定足数の充足を確認します。
  5. 解散決議の説明と審議
     会社を解散する理由、今後の流れ、清算人の選任案などを説明します。質疑応答があれば対応します。
  6. 採決
     出席株主の議決権3分の2以上の賛成で可決となります
  7. 清算人の選任
     定款に定めがなければ、一般的に株主総会で清算人を選任します。多くの場合、現代表取締役が選ばれます
  8. 閉会宣言
     すべての議事が終了した時点で閉会します。
  • 2週間以内に法務局で解散登記・清算人選任登記を行います
  • 清算人が会社財産の調査・財産目録と貸借対照表の作成を行います。
  • 債権者保護手続きとして官報公告を行い、2か月以上の債権届出期間を設けます
  • すべての清算手続きが完了した後、清算報告を株主総会で承認し、清算結了登記を行います。

製造業のA株式会社では経営環境の変化から事業を終了する方針となりました。取締役会で解散の議案を決定し、臨時株主総会を招集。議案説明の後に質疑応答を実施し、特別決議で可決。現代表取締役を清算人に選任、速やかに登記などの清算手続きを進めました。このような流れが一般的です。

会社解散を決める株主総会は、特別決議による厳格な要件や事前準備が必要不可欠です。招集通知の送付、会場や進行手順の事前確認、正確な議事の記録など、法令順守と円滑な進行がポイントになります。解散決議後は登記や債権者保護公告など、追加の法的手続きも忘れずに行いましょう。

株式会社の解散にあたっては、行政書士や弁護士など専門家のアドバイスを受けながら、慎重かつ確実に手続きを進めることが大切です