マイクロ法人の決算スケジュールと年間業務カレンダー~決算・申告までの流れと時期ごとのポイント~
はじめに
マイクロ法人を設立した後、毎年必ず行わなければならないのが「決算」と「税務申告」です。これらの手続きは、会社の規模にかかわらず法律で義務付けられており、適切なスケジュール管理が求められます。しかし、初めてマイクロ法人を運営する方にとっては、どの時期にどんな業務が必要なのか、全体像がつかみにくいものです。本記事では、マイクロ法人の決算スケジュールと年間業務カレンダーについて、政府や公的機関の情報をもとに、時期ごとのポイントや流れをわかりやすく解説します。
マイクロ法人の決算とは?
マイクロ法人の決算とは、1年間の収益や費用をまとめ、財政状況を明確にする一連の手続きです。規模の大小にかかわらず、すべての法人は毎年決算を行い、決算書類を作成しなければなりません。この決算書類をもとに、法人税や消費税などの税額を計算し、税務署や自治体へ申告・納付する必要があります。
年間業務カレンダーと決算スケジュール
年間を通じて行う業務
- 日々の取引記帳・帳簿管理
日々の売上や経費等の取引を記帳し、領収書や請求書を整理しておきます。年度末にまとめて対応するのではなく、日頃からこまめに整理することでミスや漏れを防げます。 - 毎月の業務
- 役員報酬の支払い
- 社会保険料の納付
- 必要に応じて源泉所得税の納付(納期の特例を利用する場合は7月と1月の年2回)
- 年次業務
- 年末調整(1月)
- 算定基礎届の提出(7月)
決算から申告・納付までの流れ
- 帳票整理・データ入力
決算月までの会計データを会計ソフト等に入力し、帳簿を整理します。 - 試算表・決算整理仕訳の作成
減価償却費など決算特有の仕訳を行い、試算表を作成します。 - 決算書類の作成
損益計算書、貸借対照表などの財務諸表を作成します。 - 取締役会・株主総会での承認
決算書類は取締役会や株主総会で承認を受ける必要があります(会社法第438条等)。 - 法人税・消費税等の申告書作成・提出
決算日の翌日から2ヶ月以内に、法人税・消費税・法人住民税・法人事業税の申告書を作成し、税務署や自治体に提出します。 - 各税金の納付
申告期限までに税金を納付します。 - 決算書類の保存
作成した決算書類や申告書は、法律で定められた期間保存する必要があります。
決算月の選び方とスケジュール例
決算月は会社設立時に自由に設定できます。例えば3月決算の場合、5月末が申告・納付期限となります。余裕を持って決算処理を進めたい場合は、繁忙期を避けた9月や10月決算もおすすめです。
月 | 主な業務内容 |
---|---|
1月 | 年末調整、源泉所得税納付(特例適用時)、帳簿整理 |
2月 | 決算準備(3月決算の場合)、帳簿整理 |
3月 | 決算月(例:3月決算の場合)、会計データ最終入力 |
4月 | 決算書類作成、株主総会開催、申告書作成 |
5月 | 申告書提出・納付(3月決算の場合) |
7月 | 算定基礎届提出、源泉所得税納付(特例適用時) |
その他 | 毎月の帳簿記帳、社会保険料納付、役員報酬支払い |
時期ごとのポイント
- 日々・月次業務の徹底
日常の記帳・帳票整理を怠ると、決算時に大きな負担になります。クラウド会計ソフトの活用もおすすめです。 - 決算月前後は特に注意
決算月には未処理の取引がないか再確認し、決算整理仕訳や減価償却の計上を忘れずに行いましょう。 - 申告・納付期限の厳守
期限を過ぎると加算税や延滞税などのペナルティが発生します。決算日から2ヶ月以内が原則です。 - 株主総会・取締役会の開催
決算書類は株主総会での承認が必要です。スケジュールに余裕を持って開催しましょう。
まとめ
マイクロ法人の決算・申告業務は、年間を通じた記帳や帳票管理から始まり、決算月には集中的な処理が求められます。決算日の翌日から2ヶ月以内に法人税等の申告・納付を完了させることが法律で義務付けられています。日々の業務をしっかり行い、スケジュールを把握しておくことで、決算時の負担を軽減できます。初めての方でも、政府や公的機関の情報を参考にしながら、計画的に進めていきましょう。