小規模企業共済の解約返戻金と元本割れリスクを徹底解説

小規模企業共済は、個人事業主や会社経営者にとって節税対策や将来の退職資金として非常に人気のある制度です。しかし、途中で解約をすると「元本割れ」する可能性があることをご存じでしょうか?本記事では、解約時の返戻金計算方法と、元本割れリスクについて、正確な情報をもとに分かりやすく解説します。

小規模企業共済の解約返戻金(解約手当金)は、納付した掛金の合計額に、納付月数に応じた「支給率」をかけた額で算出されます。具体的には、納付月数が短いほど支給率は低く、20年(240ヶ月)以上納付すると100%以上になるケースもあります。

たとえば、月額1万円を10年(120ヶ月)納付した場合、掛金合計額は120万円で、解約手当金は約100万円~110万円程度になります。一方、3年(36ヶ月)で解約した場合は、支給率が80%程度なので、約96万円の返戻金となります。

元本割れとは、解約時に受け取れる返戻金が、これまで納付した掛金の合計額を下回ってしまう状態です。これは、納付月数が短い(20年未満)場合に特に起こりやすいです。特に任意解約(自己都合で解約)の場合は、元本割れのリスクが高くなります。

ただし、個人事業の廃業や会社の解散、定年退職、死亡などの一定の理由で共済金を受け取る場合は、元本割れのリスクが低くなるため、加入目的や将来のプランに応じて解約時期を検討することが大切です。

例えば、Aさんは月額1万円で10年間(120ヶ月)小規模企業共済に加入しました。掛金合計額は120万円です。解約手当金の支給率は約80%~100%のため、返戻金は約96万円~120万円となります。20年未満で任意解約した場合、元本割れの可能性があることが分かります。

一方、Bさんが20年間(240ヶ月)加入し、掛金合計額240万円で解約した場合、返戻金は約278万円~280万円程度となり、元本割れのリスクはほとんどありません。

小規模企業共済は、長期的に継続することで節税効果や退職金としてのメリットが大きくなります。ただし、任意解約や加入期間が短い場合、元本割れのリスクがあるため、加入の目的や将来の計画に応じて解約時期を慎重に検討することが重要です。解約返戻金の計算方法やリスクを正しく理解し、自分に合った資金計画を立てましょう。