会社解散と清算の違いを分かりやすく解説
はじめに
会社経営には、設立だけでなく「会社をたたむ(終了させる)」手続きも大切です。会社の事業をやめる際によく耳にする「解散」と「清算」という言葉ですが、違いを正確に理解している方は少なくありません。本記事では、株式会社を例に、会社解散と清算の違いを、手続きや法律的な観点からわかりやすく解説します。公的機関や信頼できる解説サイトの情報に基づいてまとめています。
会社解散とは?
会社の「解散」とは、営業活動を終えて今後は新しい取引をしない、という意思決定を公式に行うことで、会社の消滅(廃業)準備の第一歩です。たとえば、株主総会の特別決議、定款に定めた事由の発生、合併、破産などがきっかけで解散します。
解散が決議されても、即座に法人格(会社としての権利義務)は消滅せず、「清算会社」として清算のための存続を続けます。この段階では現務の結了――つまり未処理の業務を片付け、新たな取引は一切行わない状態になります。
清算とは何か?
「清算」とは、解散した会社の財産や債権・債務を整理し、会社としての法律関係を最終的に後始末する一連の手続きです。主な内容は以下の通りです。
- 会社の財産や債権・債務を洗い出し、目録や貸借対照表を作成
- 債権の回収、債務(買掛金や借入金等)の弁済
- 財産の換価処分(不動産や有価証券の現金化など)
- 官報公告や債権者への催告
- 清算事務を終えた後、残余財産がある場合は株主への分配
最終的には、株主総会で決算報告書が承認され、法務局で「清算結了登記」の手続きがなされて初めて会社は法的に消滅します。
解散から清算までの流れ
- 解散決議(株主総会等)
- 清算人の選任
- 財産調査・公告と債権者保護
- 債権回収・債務弁済・資産現金化
- 未収金の回収、未払金や借入金などの支払、資産の換価処分を行います。
- 残余財産の分配・決算報告
- 清算後に残った資産は、株主などに分配します。
- 清算結了登記
会社解散と清算のポイントの違い
項目 | 解散 | 清算 |
---|---|---|
意義 | 事業の終了・消滅の準備開始 | 財産・債権債務等の最終整理と消滅処理 |
手続き開始の契機 | 株主総会決議、定款事由、合併、破産等 | 解散後に自動的に発生(原則として清算人が主導) |
期間 | 原則的に短い | 通常2か月以上(公告期間を含む。事務内容で変動) |
法人格 | 存続(清算の範囲で会社は存続) | 清算結了で消滅 |
代表者 | 取締役(解散直後まで) | 清算人(以降の権限と代表権あり) |
事例
例えば、A株式会社(東京都・小売業)は、売上の減少を理由として株主総会で解散を決議。取締役だった代表取締役が清算人に選ばれ、取引先への売掛金回収、在庫の現金化、銀行借入金などの弁済を進めた上で、残った資産を株主へ分配。全ての清算手続き終了後、法務局で「清算結了登記」を行い、正式にA株式会社は消滅しました。
まとめ
- 会社の解散とは事業活動の終了と会社消滅準備への移行手続きです。
- 清算は解散した会社の財産・債権債務などを最終的に整理する手続きで、終了後初めて法人格が消滅します。
- どちらも会社を終わらせる過程で必ず踏むステップですが、「解散」だけで会社は消滅せず「清算」完了が必要です。
- 詳しい手順や必要書類、注意点などは、法務局などの公的サイトや会社法などに沿って確認しましょう。
本記事は、会社法(会社法第404条以降)、法務省・法務局、JICA教材、国税庁等の解説PDFを出典とし、正確性を重視して解説しています。会社の解散・清算について疑問がある場合は、行政書士等の専門家への相談もおすすめします。