会社設立の第一歩!定款とは何かをわかりやすく解説

会社を設立しようと思ったとき、必ず耳にするのが「定款(ていかん)」という言葉です。とはいえ、初めて会社を作ろうとする方にとっては、「定款っていったい何?」「どんな内容を書けばいいの?」と疑問に感じるのが自然です。実際、会社設立のプロセスにおける最初の大きなポイントが定款作成です。

本記事では、会社設立を検討している方に向けて、定款の基本的な役割や作成の際に押さえておきたいポイントをわかりやすく解説します。


定款は、会社の「基本ルールブック」といえる存在です。法律に基づいて会社を運営していくための根本規則を記載した文書であり、いわば法人の憲法のような役割を果たします。

会社法(参考:e-Gov法令検索「会社法」)によれば、株式会社などの法人を設立する際には必ず定款を作成し、その定款に会社名、事業目的、本店所在地、発行可能株式数、公告方法など、会社経営の基礎に関わる内容を記載しなければなりません。これらは「絶対的記載事項」と呼ばれ、定款に記載がないと会社としての効力が認められない重要な情報です。


定款には、必須となる「絶対的記載事項」と、必要に応じて記載する「相対的記載事項」「任意的記載事項」があります。大きく分けると以下の通りです。

1. 絶対的記載事項

会社法上、必ず記載する必要がある内容です。例えば、次のようなものがあります。

  • 商号(会社名)
  • 事業目的
  • 本店の所在地
  • 設立に際して出資される財産の価格や最低額
  • 発行可能株式の総数

2. 相対的記載事項

定款に記載すれば効力を持つ内容です。記載がなければ効力が生じません。

  • 株式の譲渡制限に関する定め
  • 取締役や監査役の任期の特例
  • 株主総会招集方法に関する特則

3. 任意的記載事項

法律上の強制はないものの、会社運営を円滑にするために記載するケースがあります。

  • 取締役会の開催方法
  • 代表取締役を定める方法
  • 事業年度の定め

定款を作成する方法には大きく分けて二つあります。

自分で作成する方法

会社設立用のひな形を参考に、自らワードやPDFで定款を作成する方法です。ただし、法律用語や形式の誤りがあると法務局から補正を求められたり、後々の経営に支障が生じるおそれがあります。

専門家に依頼する方法

行政書士や司法書士などに依頼すれば、会社法に則した内容で作成でき、効率的です。特に電子定款に対応している専門家に依頼すると、紙の定款作成時に必要な収入印紙代(4万円)が節約できるメリットもあります。


株式会社を設立する場合、作成した定款は公証役場で認証を受ける必要があります(合同会社の場合は不要です)。

公証役場では、公証人が定款の内容をチェックし、形式的に問題がなければ認証を行います。認証された定款は、会社設立登記を申請するために必要となる重要書類です。


例えば、あるベンチャー企業を立ち上げた創業者が、定款に株式の譲渡制限を入れていなかったケースがあります。当初は仲間内で始めた会社であっても、将来株式が第三者に渡ることを想定していなかったため、後に経営権が不安定になるリスクが生じました。このように、定款の内容ひとつが会社の将来に大きな影響を与えることがあります。


  1. 事業目的は具体的かつ柔軟に
    将来展開する事業の余地を持たせつつ、あまりにも漠然とした記載は避けましょう。
  2. 公告方法の選択
    定款には公告方法(官報掲載や電子公告など)を定めます。実務上はコストを抑えられる電子公告を選ぶケースが増えています。
  3. 事業年度の定め
    決算のタイミングは会社の経営計画に直結します。業種や資金繰りを考慮して設定しましょう。

会社設立にあたり、定款はまさに「会社の設計図」といえる存在です。商号や事業目的などの基本情報から、株式の取扱いや公告方法といった運営ルールまで、会社の未来を形づくる大切な要素を定めています。

定款作成は、ただ形式的に法律を満たすだけでなく、将来の経営トラブルを防ぐための重要なステップです。ご自身で作成することも可能ですが、確実性や効率性を重視するなら、専門家のサポートを受けることが安心につながります。

会社設立の第一歩として、定款を正しく理解し、将来を見据えた内容で作成することをおすすめします。