マイクロ法人の固定資産管理と減価償却の仕訳方法~パソコン・備品の資産計上と実務ポイント~

マイクロ法人を運営する上で、パソコンや備品などの固定資産管理と減価償却の正しい処理は、節税や決算の信頼性向上のために欠かせません。この記事では、実務でよく使われる仕訳例や、国税庁・中小企業庁などの公的情報をもとに、初心者にも分かりやすく解説します。

固定資産の定義と資産計上のタイミング

固定資産とは、事業で1年以上利用するパソコンや事務機器、備品などを指します。購入金額が10万円以上の場合、原則として固定資産として計上し、耐用年数に応じて減価償却を行います。

パソコンや備品の勘定科目

  • パソコン・事務機器:「工具器具備品」で資産計上
  • 購入時の仕訳例
    例:パソコンを180,000円で現金購入した場合
借方金額貸方金額
備品180,000現金180,000

減価償却とは

減価償却とは、固定資産の取得価額を耐用年数にわたり、毎年費用として計上する会計処理です。これにより、資産の価値減少分を適切に損金算入できます。

耐用年数の確認方法

パソコンの法定耐用年数は通常4年、事務機器や備品は種類ごとに異なります。耐用年数は国税庁の「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」で確認できます。

減価償却の方法

  • 定額法:毎年一定額を費用計上(多くの中小法人で採用)
  • 定率法:毎年減少する額を費用計上(選択制)

通常、法人は定額法を用いますが、償却方法の選択や届出は国税庁の指導に従う必要があります。

直接法と間接法

  • 直接法:減価償却費を資産から直接控除
  • 間接法:減価償却累計額を別勘定で管理

直接法の仕訳例

例:180,000円のパソコン(耐用年数4年)を7月に購入し、決算が12月の場合(6ヶ月分)

借方金額貸方金額
減価償却費22,500工具器具備品22,500

間接法の仕訳例

借方金額貸方金額
減価償却費22,500減価償却累計額22,500

少額減価償却資産の特例

  • 30万円未満の資産:中小企業者等は、合計300万円まで即時償却(全額損金算入)が可能です。
  • 10万円未満の資産:全額損金算入
  • 20万円未満の資産:3年間で均等償却も選択可能

少額減価償却資産の仕訳例

例:パソコン(取得価額240,000円)を特例適用で即時償却

借方金額貸方金額
減価償却費240,000工具器具備品240,000

実務上の注意点

  • 少額減価償却資産の特例を利用する場合、確定申告書等に明細書の添付が必要です。
  • 取得価額が30万円以上の資産は、原則として耐用年数に基づき減価償却を行います。

40代男性が経営するマイクロ法人で、2025年7月にパソコン(240,000円)を購入。決算期は12月。

  • 購入時の仕訳
借方金額貸方金額
工具器具備品240,000現金240,000
  • 減価償却(特例適用、全額損金算入)
借方金額貸方金額
減価償却費240,000工具器具備品240,000

マイクロ法人におけるパソコンや備品の固定資産管理と減価償却は、資産の金額や耐用年数、特例の有無によって処理方法が異なります。国税庁や中小企業庁の公的情報を参考に、正しい仕訳と申告手続きを行うことが、税務リスクの低減と経営の健全化につながります。実務で迷った場合は、税理士や専門家への相談もおすすめです。