外国人の個人事業主と法人設立、どちらがビザ取得に有利か？

はじめに

外国人が日本で事業を始める際、個人事業主としての開業と法人（会社）設立のどちらがビザ取得に有利か悩まれる方は多いです。本記事では、ビザ取得の観点から個人事業主と法人設立のそれぞれのメリット・デメリットを解説し、具体的な行政手続きや必要条件についても説明します。特に技術・人文知識・国際業務ビザ（技人国）や経営管理ビザの取得を目指す方に役立つ情報を、公式情報や信頼できる情報源に基づいてまとめました。

個人事業主としてのビザ取得の特徴

個人事業主として就労ビザを取得する場合、重要なのは「安定的な収入を証明できるかどうか」です。会社員と異なり毎月の固定給がなく、収入の変動も大きいため、入国管理局による審査は厳格です。また、個人事業主として経営管理ビザを取得することも可能ですが、会社設立に比べて資本金要件などが緩やかである反面、収入や業務内容を契約書等で明確にする必要があります。取引先との業務委託契約を締結し、安定した報酬を受け取っていることが証明材料になります。

技術・人文知識・国際業務ビザに関しては、準備書類が多く、審査期間も1～3か月以上かかることがあります。特に個人事業主の場合は、事業の継続性や収入の安定性に対して慎重な審査がなされるため、早めの準備と書類の充実が必要です。

法人設立によるビザ取得の特徴

一方で法人を設立し経営管理ビザを申請する場合、最低500万円の資本金を用意し、法務局への登記申請・各種書類準備などの手続きが必要です。この出資金や法人の経営状況については審査の大きなポイントとなります。法人の場合、事務所の賃貸契約や社員雇用の計画などを具体的に提出できるため、経営の実態を示しやすく、ビザ取得に有利な場合が多いです。

また、会社設立には司法書士への依頼費用、登録免許税など初期費用がかかるため資金面での準備も不可欠です。しかしながら、法人としての信用力や事業の将来性、雇用創出の実績がビザ審査で高く評価される傾向にあります。

ビザ取得の観点から比較すると

項目	個人事業主	法人設立
資本金・初期費用	特に資本金は不要（初期費用は比較的少ない）	最低500万円の資本金、登録免許税等が必要
収入の証明	業務委託契約などで安定収入を示す必要あり	法人として経営状態を示せるため証明が容易
ビザ審査の難易度	審査は厳しめ	比較的有利、審査基準を満たしやすい
事業展開の信用度	個人の実績中心で信用は限定的	事務所賃貸・社員雇用で信用力向上
継続性の証明	収入や契約先が変わると不安定になりやすい	法人の財務状況が安定していれば継続性を示しやすい

実務上の注意点

個人事業主としてビザ申請する場合、事前に契約書を必ず作成し、収入の流れを明確にしておくことが重要です。審査においては事業計画書の充実や収入実績の裏付けが要求されるため、専門家のサポートを受けることをおすすめします。

法人設立にあたっては、登記書類の不備がないようにし、経営管理ビザ申請に必要な書類をそろえる準備が必要です。また、資本金の額に応じて事務所の賃貸や雇用の実態を示すことが鍵となります。

まとめ

外国人が日本でビザ取得を目的として事業を始める場合、個人事業主と法人設立それぞれに特徴と得意分野があります。個人事業主は資本金不要かつ初期コストが低い反面、安定収入の証明が難しく審査は厳しめです。法人設立は資本金準備や初期コストがかかりますが、審査が比較的有利で、事業の信用度や継続性を示しやすいメリットがあります。

ビザ申請を成功させるためには、専門家である行政書士と相談しながら事業計画と申請書類を整えることが重要です。目的や資金状況に合わせて最適な選択をすることをおすすめします。