合同会社の定款―株式会社との違いと作成時のポイントを徹底解説
はじめに
会社設立を検討されている方は、「定款」という言葉をよく目にするのではないでしょうか。特に合同会社の設立が増加する中で、株式会社との違いや定款作成のポイントは多くの方が気になるテーマです。本記事では、合同会社の定款の特徴と株式会社との違いについて、正確な公的情報に基づき、分かりやすく解説します。
定款とはなにか
定款とは、会社運営のルールを定めた「会社の憲法」にあたる文書です。会社設立時には必ず作成が必要となり、商号(社名)、事業目的、本店所在地などの基本的な情報を記載します。会社法により、記載すべき項目が明確に定められています。
合同会社の定款の特徴
合同会社の定款は、株式会社とは異なり「公証役場での認証手続きが不要」です。このことから設立にかかる手間と費用を抑えることができます。例えば、公証役場での定款認証費用(1.5万~5万円程度)が不要なため、合同会社のほうが手続きが簡単です。
また、合同会社には株式の概念がなく、株主や株式譲渡制限などの記載事項が少ない分、定款がシンプルに作成できます。さらに、出資比率に関係なく利益分配を自由に決められるなど、経営に柔軟性があるのが特徴です。
合同会社の定款に必要な記載事項
合同会社の定款には、会社法によって次のような記載事項が求められます。
・商号(会社名)
・事業目的
・本店所在地
・社員(出資者)の氏名および住所
・有限責任社員である旨
・社員の出資の目的および価額
これらが欠けると定款が無効となってしまうため特に注意が必要です。記載方法は紙・電子(PDF)どちらでも可能ですが、電子定款の場合は印紙代(通常4万円)が不要となります。
株式会社の定款との違い
株式会社の場合、作成した定款は「公証役場での認証」が必要です。これは、不特定多数の株主が関わる仕組みであるため、第三者による認証が必要とされています。
構成上も違いがあり、株式会社の定款には株主構成、株式譲渡制限、取締役会の設置など、より多くの事項を細かく記載します。そして、発起人や株数、資本金、事業目的など会社法27条・37条など法令に基づく絶対的記載事項があります。
事例紹介
例えば、ITサービスを展開するA社は合同会社を選択しました。設立時には定款を作成し、事業目的・社員の役割・利益分配方法を自由に決められることで、よりフレキシブルな運営体制を築くことができました。同業のB社は株式会社として設立し、株主構成や定款認証による公的な信頼性を重視しました。各社は自社の経営方針や規模、将来の資金調達などに合わせて会社形態を選ぶことが重要です。
まとめ
合同会社の定款は、公証役場での認証が不要で作成が簡単、かつ経営の自由度・柔軟性が高い点が特徴です。一方、株式会社は厳格な認証手続きと詳細な記載事項が求められます。どちらの会社形態を選択するかは、事業規模や経営方針に合わせて慎重に検討しましょう。定款作成は会社設立の基礎となる重要な手続きですので、法令や公的情報をしっかり確認して進めてください。