一般貨物自動車運送事業許可取得に必要な条件と事業計画作成のポイント
はじめに
一般貨物自動車運送事業とは、複数の依頼主から貨物を有償で運送するビジネスで、いわゆるトラック運送業に該当します。新たに事業を始めるためには、国土交通大臣や運輸局長の厳しい審査を通過し、許可を得なければなりません。本記事では、許可取得に必要な条件と、事業計画書作成のポイントを、最新の公的情報を交えて詳しく解説します。
一般貨物自動車運送事業許可の主な条件
欠格事由について
まず、貨物自動車運送事業法第5条で定められる欠格事由に該当する場合、許可申請は認められません。暴力団関係者や重大な違反歴のある方、公的資格の停止歴がある場合は、申請が困難です。
人員要件
・運転手(ドライバー):最低5名以上の確保
・運行管理者:1名以上
・整備管理者:1名以上
運行管理者は資格試験合格や実務経験が求められ、整備管理者は整備経験2年以上、または自動車整備士3級以上の資格が必要です。
設備要件
・営業所・休憩・仮眠室:都市計画法、農地法、建築基準法等に違反しないこと
・車庫:営業所併設が原則、車両間隔50cm以上確保、都市計画法等への適合
・車両:事業用の車両が5台以上
設備の所有権・使用権原を証する書類(不動産登記簿謄本や賃貸借契約書など)が必要です。
資金要件
事業開始にあたって必要な資金および調達方法(残高証明書など)を提出し、資金計画が健全であることを示す必要があります。
必要な提出書類
- 一般貨物自動車運送事業経営許可申請書
- 事業計画書
- 運送事業計画(営業所・車庫・車両・人員・資金の計画)
- 有資格者確保計画書
- 車両の使用権原証明(売買契約書・リース契約書など)
- 事業用施設関係書類(配置図・幅員証明書など)
- 欠格事由非該当宣誓書
- 法人の場合は定款・登記簿謄本
これら書類は運輸局の窓口またはオンラインで申請書式を入手し、記載内容を正確に整えて提出する必要があります。
事業計画の作り方とポイント
事業計画の主な記載内容
- 事業種別(一般貨物か特定貨物か)
- 主たる事務所・営業所の住所
- 資本金・決算期
- 施設の収容能力、車庫の概要、接面道路の幅員
- 保有車両の種別・台数
- 運行管理・整備管理体制
- 利用運送事業を行う場合の事業者概要
安全な輸送体制と法令遵守、適切な人員配置、安定的な事業運営を具体的に示すことが、審査のポイントです。数字や計画根拠を明示して、わかりやすく記載しましょう。また、施設や車両の写真・図面の添付も推奨されます。
公的な提出様式・参考情報
事業計画書の作成例や様式は、国土交通省や運輸局の公式サイトで入手できます。申請内容に誤りがないか、管轄の窓口で事前相談を行うことも可能です。
よくある質問事例
Q: 車両は中古でも許可要件を満たしますか?
A: 所有権・使用権を証する書面が揃えば、中古車両も認められます。
Q: 複数人で出資する場合の注意点は?
A: 法人の場合、役員の欠格事由や資本関係などが審査されます。
まとめ
一般貨物自動車運送事業の許可取得は、法律・条例・運輸省令に則った厳格な審査を受ける必要があり、適切な人員・設備・資金計画とともに、詳細な事業計画を作成しなければなりません。公的情報を活用し、最新の申請書式に沿って手続きを進めることが、スムーズな許可取得への第一歩です。許可申請にあたって疑問点がある場合は、管轄の運輸局や専門の行政書士へ相談しましょう。