株主総会や取締役会の招集方法を定款でどこまで定める?

株式会社を設立し、組織運営を適切に行うためには、株主総会や取締役会の招集方法について理解を深め、定款でどこまでルール化できるかを明確にすることが大切です。この記事では、会社法や実務を踏まえ、定款による招集方法の定め方のポイントを説明します。

株主総会の招集方法については、会社法第299条で原則が規定されています。公開会社の場合、株主総会の日の2週間前までに書面で通知する必要があります。非公開会社では1週間前までですが、定款によってこれを下回る期間を設定することも可能です(ただし取締役会設置会社を除く)。通知方法には書面が原則ですが、株主の同意があれば電子的方法での通知も認められます。

  • 招集通知の発信時期(非公開・取締役会非設置会社は1週間より短く設定可能)
  • 招集通知の方法(書面、電子的方法、特殊な場合に限定的に口頭も可)
  • 書面投票や電子投票を認める場合はその旨の明記
  • 招集通知添付書類に電子提供制度を導入する場合の取り扱い
  • 招集手続きの省略(株主全員同意の場合)

ただし、取締役会設置会社や公開会社では会社法上の制限が厳しく、定款で省略・簡略化できる範囲は限定されます。

取締役会の招集も会社法で定められており、原則として各取締役が招集権者とされますが、実際には定款で代表取締役のみ招集可能と定めることも多いです。取締役会設置会社の場合、定款で書面通知以外の方法や期間の短縮を認めることもできますが、全取締役の承諾が条件です。

【定款例】
「株主総会の招集通知は、会日の5日前に書面または株主の同意がある場合には電磁的方法により発するものとする。」
「取締役会の招集は、各取締役が招集することができる。」

注意点として、定款の規定が会社法に反しないこと、公証人役場や法務局での認証時に問題ないことを確認しましょう。

X社では株主全員の同意を前提に招集手続きを省略したが、一部株主が同意していなかったことが後日発覚し、決議の有効性が争われました。このような場合、招集手続の適否がトラブルの主因となります。定款では実務運用も見据えて柔軟かつ明確に規定することが大切です。

株主総会や取締役会の招集方法は、会社法の範囲内で定款により柔軟に定めることが可能です。しかし、定款でどこまで簡略化できるか、どこまで自由に規定できるかには限界があり、公的基準や判例、運用実務も押さえる必要があります。設立時や規定改定時は、専門家や公的情報を参考に慎重に検討しましょう。