会社設立後に必要な社会保険・労働保険の手続き
はじめに
会社設立後、経営者が最初に直面する大きな課題の一つが「社会保険・労働保険の手続き」です。これらの手続きは、従業員を守るだけでなく、企業としての信頼性を高めるためにも不可欠です。しかし、初めて会社を設立した方にとっては、どの保険に加入し、どのような書類をいつまでに提出すればよいのか分かりづらいものです。本記事では、会社設立後に必要な社会保険・労働保険の種類や手続き方法、注意点について、最新の公的情報をもとに分かりやすく解説します。
会社設立後に必要な社会保険・労働保険とは
会社設立時に加入が必要な保険は、主に下記の4種類です。
- 健康保険
- 厚生年金保険
- 雇用保険
- 労災保険
特に健康保険や厚生年金保険は法人であれば役員のみの場合でも原則として加入義務があり、未加入のまま放置すると過去2年分の保険料を遡って徴収されるリスクや、各種助成金が受けられなくなる可能性があります。
社会保険(健康保険・厚生年金保険)の手続き
必要な手続きと書類
社会保険の加入手続きは、以下の2段階で行います。
- 会社としての新規適用手続き
- 「健康保険・厚生年金保険 新規適用届」を年金事務所へ提出
- 従業員ごとの資格取得手続き
- 「被保険者資格取得届」
- 「被扶養者(異動)届」(該当者のみ)
これらの書類は日本年金機構の公式サイトからダウンロードでき、デジタル庁の「法人設立ワンストップサービス」でもオンライン申請が可能です。
提出期限
- 会社設立後速やかに(設立登記完了後、原則5日以内)
労働保険(労災保険・雇用保険)の手続き
労災保険
- 「保険関係成立届」を労働基準監督署へ提出(成立の翌日から10日以内)
- 「概算保険料申告書」を同じく提出(成立の翌日から50日以内)
雇用保険
- 「雇用保険適用事業所設置届」
- 「雇用保険被保険者資格取得届」(従業員を雇用した場合)
これらの様式はハローワークの公式サイトからダウンロードでき、法人設立ワンストップサービスで一部オンライン申請も可能です。
具体的な流れと注意点
- 会社設立登記完了後、速やかに社会保険の新規適用届を提出
- 従業員を雇用した場合は、労災保険・雇用保険の手続きも並行して行う
- 各種届出は期限厳守。遅れると行政指導や追徴リスクあり
- 書類は年金事務所、労働基準監督署、ハローワークそれぞれに提出が必要
事例紹介
例えば、設立直後に役員2名と従業員1名でスタートしたIT企業の場合、登記完了後すぐに年金事務所にて社会保険の新規適用届を提出。その後、従業員の資格取得届も提出し、労働基準監督署で労災保険の手続きを行い、さらにハローワークで雇用保険の申請を行う流れとなります。これらをスムーズに進めることで、安心して事業運営を開始できます。
まとめ
会社設立後は、社会保険・労働保険の加入手続きが法律上の義務です。健康保険・厚生年金・労災保険・雇用保険の4つについて、必要書類や提出先、期限をしっかり把握し、速やかに手続きを進めましょう。未加入や手続き遅延は、後々大きなリスクとなります。分からない点があれば、行政書士や社会保険労務士など専門家への相談もおすすめです。