日本にいない場合でも会社設立は可能?外国からの設立手続きと注意点

近年、グローバルビジネスの広がりと共に「日本にいない状態でも株式会社や合同会社を設立できるのか」「外国から会社設立手続きを完結できるか」というご相談が増えています。ビジネス機会拡大のため、あるいは投資や日本進出を目的とする方々には重要なテーマです。本記事では、会社設立を希望する外国在住者や海外在住日本人が、日本での法人設立を行う際のポイントや注意点、政府機関が公表する最新情報をもとに、ご案内します。

結論から言いますと、日本にいなくても株式会社や合同会社を設立することは原則として可能です。ただし、申請書類の記名押印や法務局への手続き対応、銀行口座の開設などでは現地対応が求められる場面もあるため、オンラインで全てが完結するわけではありません。なお、代表取締役や業務執行社員に外国籍の方を選任することも可能ですが、会社設立後の経営活動や銀行との取引、在留資格取得との関係には注意が必要です。

  1. 定款の作成・認証
    会社設立の第一歩は「定款(会社の基本ルール)」を作成し、公証人役場で認証を受けることです。電子定款認証であれば、遠隔地からも手続きを進めやすくなっていますが、公証人役場への書類提出や連絡の一部では国内の代理人が必要となる場合があります。
  2. 設立に必要な資本金の払込
    定款認証後、発起人名義の銀行口座に資本金を払い込みます。この銀行口座は、口座名義人が日本国内に居住していなくても原則として認められます。ただし、銀行により対応が異なり、口座開設自体が難航することもあるため、事前のリサーチや専門家への相談が推奨されます。
  3. 登記申請書類の作成と提出
    設立登記申請書、印鑑届出書、役員の就任承諾書など、各種書類を準備し、法務局へ提出します。海外在住者の場合、書類作成や押印のために日本国内の代理人を立てる例が多く見られます。申請書類の郵送や代理人提出も認められています。

外国籍の方が日本で会社設立を進めた後、実際に日本で経営活動を行う場合、「経営・管理」などの在留資格(ビザ)が必要となります。会社設立自体は海外在住のままでも行えますが、経営活動や実務を日本国内で行うためには、出入国在留管理庁の基準や申請手続きについてよく確認する必要があります。

例えば、タイ在住のAさんが自国から株式会社を設立したい場合、日本国内の行政書士と連携し、電子定款の作成や登記申請書類を準備、認証・印鑑取得などの手続きを代理人を通じて完了できました。現地銀行口座の資本金払い込みについては、予め日本側の知人名義の一時口座を利用し、設立後は経営管理ビザを申請して来日・業務を開始したという流れです。あくまで一例ですが、このように代理人や専門家のサポートを活用することで円滑な設立が可能となります。

  • 現在の日本の会社法や商業登記規則では、株主や発起人が日本国内に住所を有していることは要件になっていません。
  • 法人印鑑の作成や印鑑証明発行といった国内手配が必要な点、郵送や電子申請に対応する準備が必要です。
  • 資本金の払込口座や会社設立後の事業用銀行口座の開設について、銀行ごとに条件や対応が異なるため、最新の情報(各銀行公式サイト)を必ずご確認ください。
  • 外国人が出資者・経営者になる場合は、反社会的勢力排除や犯罪収益移転防止規程等に基づく厳格な本人確認・書類提出が求められることがあります。

日本国内にいなくても株式会社や合同会社の設立自体は可能ですが、いくつか現地代理人を活用する必要や、日本で実際に活動するための資格取得との関係など、クリアすべき課題が存在します。設立を検討する際には、法的要件や手続きを正確に把握し、政府や各種関連機関の最新情報に注意しながら進めていきましょう。分からない点は専門家への相談もおすすめです。