将来の定款変更方法|手続きの流れと必要な株主総会決議
はじめに
会社の運営において、定款の内容変更は避けて通れない重要な手続きです。事業拡大や本店移転、役員構成の変更など、状況に応じて定款を見直す場面が増えています。しかし定款変更には法的なルールが厳格に定められているため、間違いのない手続きが必要です。本記事では、定款変更の正しい手順と決議方法について、分かりやすくご案内します。
定款変更が必要になるケース
定款変更が必要となる代表的なケースには、以下のようなものがあります。
- 本店所在地の変更(絶対的記載事項)
- 事業目的の追加・変更
- 商号(会社名)の変更
- 発行可能株式総数や株式譲渡制限の変更
- 取締役会や監査役会の設置・廃止
これらは会社法で定められた「定款の絶対的記載事項」や「相対的記載事項」に該当します。
変更手続きの流れ
定款変更に関する手続きは、以下の4つのステップで進みます。
1.株主総会の特別決議
株式会社の定款変更は、株主総会で「特別決議」が必要です。特別決議とは、議決権の過半数を有する株主が出席し、そのうち3分の2以上の賛成で可決されます。
- 普通決議:出席株主の過半数で可決
- 特別決議:出席株主の3分の2以上で可決
2.株主総会議事録の作成
定款変更の特別決議が成立したら、議事内容を記載した株主総会議事録を作成します。この議事録は、定款変更登記申請や会社の記録として必須です。
3.変更内容に応じて登記申請
定款の内容によっては、法務局への登記申請が必要です。例えば、本店所在地や商号の変更、事業目的の変更などがこれに該当します。登記は、株主総会の翌日から2週間以内に管轄法務局へ申請します。必要書類は下記となります。
- 登記申請書
- 株主総会議事録
- 定款
- 株主リスト(必要に応じて)
- その他変更内容による追加書類
4.変更後の定款の保管
変更した定款は、原始定款(会社設立時の定款)と一緒に会社で保管します。公的機関で最新定款を保管する義務はありませんが、会社内で厳重に管理しましょう。
決議の種類について
株式会社
株主総会の特別決議(出席株主の3分の2以上の賛成)が原則です。
合同会社
事例紹介
例えば「事業目的に新分野を追加したい」「本店所在地を変更したい」といった場合、株主総会で特別決議を経て、議事録をもとに法務局で変更登記申請を行う流れとなります。実際に登記が完了するまでには申請から1~2週間程度かかることが一般的です。
注意点
まとめ
定款変更は、会社運営における重要な手続きであり、株主総会の「特別決議」と適正な手続きを経ることが不可欠です。手続きの誤りは会社法違反につながるため、法務局や公的機関の最新情報を活用しながら、確実な手続きを心がけましょう。定款変更を検討する場合は、必要な決議種類や提出書類、申請期限などを正確に把握し、適切な運用を行うことが大切です。