みなし解散とは?放置によるリスクと解決法
はじめに
会社を設立したものの、長期間にわたり登記手続きを行わずに放置していませんか?実はそのような状態を続けると、法律により「みなし解散」として会社が強制的に解散されるリスクがあります。本記事では、みなし解散の概要や放置することによるリスク、そして解決法について、法務省などの公的情報をもとに分かりやすく解説します。
みなし解散とは
みなし解散とは、株式会社等が長期間にわたり必要な登記(例えば役員変更の登記)をしていない場合、登記官が職権で会社を解散したとみなし、解散登記を行う制度です。会社法第472条に基づき、最後の登記から12年を経過した株式会社が主な対象となります。また、一般社団法人や一般財団法人は最後の登記から5年が経過した場合に対象となります。
なお、持分会社(合同会社等)は役員の任期制度がなく、みなし解散の対象とはなりません。
みなし解散が行われる流れ
- 官報公告と通知書の発送
- 2ヶ月の猶予期間
- 解散登記の実施
放置によるリスク
みなし解散を放置すると、次のような大きなリスクが発生します。
- 信用失墜・取引不能
解散登記がされると、法人登記簿に「解散」の記載がなされ、対外的信用が大きく下がります。金融機関や取引先から新規取引を断られる、許認可取得や更新ができないなど営業活動に大きな支障が出ます。 - 追加の手続きや費用発生
解散登記後にも法人格は消滅せず、清算手続き(清算人選任登記・清算結了登記)が必要となります。この際、官報公告費や登録免許税、専門家報酬なども別途発生します。 - 過料(罰金)
登記義務を怠った場合、行政上の過料(最大100万円以下)が科せられることがあります。代表者個人が支払う必要があり、会社経費として処理できません。 - 税務上の負担増加
解散年度として法人税の申告が新たに発生したり、事業年度の調整が必要になる場合があります。 - 復活できる期間制限
みなし解散登記後3年以内であれば株主総会決議で復活(会社継続登記)が可能ですが、それを過ぎると事業再開できず、清算手続きのみとなります。
解決法・対応策
みなし解散通知が届いた場合の対処法
- まだ解散前の場合
- すでに解散登記された場合
事業を継続しない場合
事業継続の意思がない場合、速やかに清算結了登記まで完了させることでトラブルを避けられます。
事例
たとえば、東京都内で十数年前に設立された株式会社が、役員交代時に登記手続きを怠ったまま事業を休眠状態にしていたところ、「みなし解散通知」が本店宛に届きました。通知内容どおり2ヶ月以内に所定の手続きをしなかったため、登記簿に「解散」の旨が記載され、新規取引が難しくなりました。その後、代表者が早急に会社継続の意思を固め、残りの期間で継続登記手続きを進めて無事に復活させることができました。
まとめ
みなし解散は、長期間登記を怠った会社に対して強制的に解散登記がされる制度であり、放置すると多大なリスクと手間、費用が発生します。事業を継続する場合は通知書受領後すぐに届出・登記申請を行い、既にみなし解散された場合も3年の猶予期間内に会社継続登記を検討することが大切です。疑問点は早めに専門家へ相談することをおすすめします。