許認可が必要な業種でマイクロ法人を設立する際の注意点

「マイクロ法人 許認可」「会社設立 注意点」「許認可 業種」などのキーワードで検索されることが多い昨今、個人事業主や副業者を中心に、マイクロ法人の設立を検討する方が増えています。特に、建設業や古物商、飲食業など、法律で許認可が必要な業種でマイクロ法人を設立する場合、通常の法人設立とは異なる注意点が数多く存在します。本記事では、政府や自治体などの公的情報をもとに、許認可業種でマイクロ法人を設立する際のポイントや注意点を詳しく解説します。

マイクロ法人とは、役員や株主が1人など、最小限の体制で設立される小規模な株式会社を指します。主に節税や社会保険対策、副業の法人化などを目的に設立されるケースが多く、近年注目を集めています。

許認可が必要な業種には以下のようなものがあります。

  • 建設業(建設業許可)
  • 古物商(古物営業許可)
  • 飲食業(食品衛生法による営業許可)
  • 産業廃棄物収集運搬業
  • 労働者派遣業
  • 宅地建物取引業(宅建業)
  • 医療・福祉関連業
  • 貸金業
  • 理美容業 など

各業種ごとに根拠法令や管轄官庁、許認可の種類が異なるため、事前の確認が不可欠です。

1. 許認可の取得要件に注意

許認可業種では「法人の資本金」「代表者や役員の経歴・資格」「事務所の所在地」など、設立時点で満たさなければならない要件が定められています。たとえば、建設業許可の場合は500万円以上の資本金や専任技術者の配置が求められます。資本金1円で設立できるマイクロ法人でも、許認可の要件を満たさなければ営業できません。

2. バーチャルオフィスの利用制限

バーチャルオフィスを本店所在地にする場合、許認可が下りない業種も多くあります。特に、実態のある事務所や営業所の確保が条件となっている業種(例:建設業、宅建業、産廃業など)は、バーチャルオフィス不可の場合があるため注意が必要です。

3. 代表者・役員の要件

許認可によっては、代表者や役員に一定の資格や実務経験、欠格事由がないことが求められます。たとえば、古物商では過去に一定の犯罪歴がある場合や、成年被後見人等は許可が下りません。

4. 許認可の名義変更・新規取得の必要性

個人事業主から法人成りする場合、許認可の「名義変更」が認められず、新たに法人名義で許認可申請が必要なケースがほとんどです。申請中は営業ができない場合もあるため、タイミングに注意しましょう。

5. ホームページ上での許認可番号等の表示義務

古物商や貸金業など、一部業種ではホームページ上に「許認可番号」「公安委員会名」などの表示義務があります。表示を怠ると行政指導や罰則の対象となる場合もあるため、設立後は必ず確認しましょう。

6. 資本金・信用力の問題

マイクロ法人は資本金が少額になりやすく、取引先や金融機関からの信用力が低下するリスクがあります。許認可取得後の営業活動や資金調達を見据え、必要に応じて資本金を増額することも検討しましょう。

たとえば、飲食店を開業するためにマイクロ法人を設立したAさん(仮名)は、保健所への営業許可申請時に「実態のある店舗」が必要であることを知りました。バーチャルオフィスでは許可が下りず、また、法人設立後に改めて営業許可を取得する必要があり、開業までに想定以上の時間とコストがかかりました。このように、許認可業種では事前準備が非常に重要です。

Q. 資本金1円でも許認可は取れる?
A. 業種によります。建設業や産廃業などは資本金要件がありますが、飲食業や古物商は資本金1円でも許可取得が可能な場合があります。

Q. 許認可が下りるまで営業できない?
A. 原則として、許認可が下りるまでは営業できません。個人事業主から法人化する場合も、法人名義で新たに許認可を取得する必要があります。

Q. ホームページに許認可番号を載せる必要は?
A. 古物商や貸金業など、一部業種では義務付けられています。詳細は各業種の根拠法令や管轄官庁の公式サイトで確認しましょう。

許認可が必要な業種でマイクロ法人を設立する場合、通常の法人設立以上に「許認可要件の確認」「事務所の実態確保」「資本金や役員要件」「ホームページ上の表示義務」など、細かな注意点が多数存在します。設立前には必ず、各業種の根拠法令や管轄官庁の公式情報(例:国土交通省、厚生労働省、警察庁、地方自治体など)を確認しましょう。また、行政書士など専門家への相談もおすすめです。