外国人が合同会社(LLC)を設立するメリットと株式会社との違い

日本で会社設立を考える外国人の方が増えてきていますが、その中でも「合同会社(LLC)」と「株式会社」のどちらを選ぶべきか悩むケースが多くあります。この記事では、外国人が合同会社を設立する際のメリットや株式会社との違いについて、政府の公的情報をもとにわかりやすく解説します。

合同会社(LLC)は比較的新しい会社形態で、会社法により平成18年に導入されました。一方、株式会社は古くから日本で用いられてきた一般的な会社形態です。主な違いは、経営の仕組みや設立コスト、出資と経営の関係にあります。

1. 設立費用が安く済む

合同会社は、設立時の登録免許税や公証人の定款認証が不要であるため、株式会社に比べて設立費用を大きく抑えることができます。たとえば株式会社設立時には定款認証が必要ですが、合同会社にはこの手続がありません。

2. 柔軟な経営が可能

合同会社は出資者全員が経営に携わることができ、経営方針や利益配分のルールも自由に決定できます。株式会社では株主と取締役が分かれていますが、合同会社はこの区分がなく、少人数での迅速な意思決定が可能です。

3. 維持コストが低い

株式会社の場合、毎年「公告義務」や「決算公告」、取締役会の設置など、コストや手間がかかる手続きが必要ですが、合同会社にはこれらの義務がありません。したがって、運営面でもコストや負担を軽減できます。

1. 在留資格の要件

外国籍の方が会社を設立する場合、「経営・管理」ビザなど適切な在留資格の取得が必要です。これは株式会社でも合同会社でも同じ条件です。ただ、日本に住所がなくても会社設立自体は可能ですが、銀行口座開設や実際の営業開始には日本住所や在留資格が求められるケースが多いので注意しましょう。

2. 資本金や設立手続き上の違い

合同会社でも株式会社でも資本金1円から設立可能です。ただし、実際にビザ申請や信用力を考慮すると、ある程度の資本金(例:500万円以上)が推奨される場合が多いです。
設立手続きは、法務局での登記手続きが必要となります。

項目合同会社(LLC)株式会社
設立費用低い高い(定款認証費等が必要)
経営の柔軟性高い標準的
出資と経営の関係出資者=経営者株主と経営者は分離
利益配分自由に決定原則として持分割合に基づく
信用力株式会社が高い傾向信用度が比較的高い

海外出身のAさんが日本でITビジネスを始める際、設立コストや柔軟な経営体制を重視して合同会社を選びました。少人数での意思決定や利益配分もスムーズに行え、初期段階のスタートアップには合同会社が向いていたといえます。一方、今後外部投資や上場を目指す場合は株式会社への形態変更も検討しています。

外国人が日本でビジネスを始める際、合同会社(LLC)は設立費用や運営の柔軟性といった多くのメリットがあります。ただし、会社の信用力や将来の事業展開(投資・上場等)も踏まえて、株式会社との違いをよく検討することが重要です。在留資格や具体的な設立手続きについても、法務局や出入国在留管理庁などの公式情報を参考にしながら適切に準備していきましょう。