特定技能人材を雇用する会社に必要な届出・許認可実務のすべて

近年、特定技能人材の雇用を検討する企業が急増しています。優秀な外国人材を確保するためには、法令遵守が何より重要となっており、会社として「何を、いつ、どこへ」届け出るべきか、またどんな許認可が必要なのか――経営者や担当者の皆さまにとって分かりやすい実務解説を政府公式情報と併せてご紹介します。

特定技能制度は、人手不足分野における即戦力外国人を雇用できる在留資格です。受け入れ企業(特定技能所属機関)は、雇用契約の締結後、管轄の出入国在留管理局などに各種申請や届出が義務付けられています。初めて特定技能人材を雇用する場合、厚生労働省、国土交通省など関係省庁による要件確認も必須となります。

【主な届出(出入国在留管理庁関連)】

  • 特定技能所属機関概要書、雇用契約書
  • 受け入れ及び活動状況の定期届出(2025年改正により年次・四半期報告の様式が変更、一体的様式で提出)
  • 随時届出(氏名・契約条件等の変更、技能実習終了などの状況報告)
  • 支援計画書(特定技能1号の場合は義務付け、条件を満たせば登録支援機関への委託も可能)
  • 各産業分野・協議会向けの受け入れ報告書(分野ごとの基準や書類内容に注意)

【必要許認可】

  • 分野別に営業許可証(例:介護は事業所指定、建設は国土交通省の認定書等)が必須
  • 社会保険・労働保険(24カ月分の納付証明書等)、税務関係の納税証明書
  • 登記・法人住民税証明書等、会社概要に関係する書類一式
  • 特定技能外国人が受け入れ分野で必要な技能・日本語資格の証明書類

雇用までの流れは、技能試験合格・雇用契約締結・支援計画策定が主軸です。各届出は受け入れ企業が直接、本店所在地管轄の出入国在留管理局へ提出する決まりです。登録支援機関委託の場合も、支援実施状況は企業自身が届出する形に改正されています(2025年以降)。

届出内容には、外国人材の氏名や雇用条件、定期的な活動・支援状況報告、不正行為や労基署対応の履歴などが含まれます。期限を守らない場合、不受理や処分につながるだけでなく、企業評価・今後の採用活動にも悪影響となるため、十分な体制整備が重要です.

特定技能制度は分野別に詳細な要件が異なります。例えば建設業の場合は、国土交通省への「1号特定技能外国人受入報告書」のオンライン提出、自動車整備では関連協議会入会なども必要となります。分野別の手続き書類は各担当省庁公式サイトやPDF資料を参照し、適切な内容で用意することが求められます。

例えば都内の製造業A社は、2025年6月に初めて特定技能1号の外国人材を採用。雇用契約締結後、管轄の出入国在留管理局へ各種届出を行い、社内に労働保険・社会保険の納付体制も整備。分野協議会への入会証を取得し、受け入れ体制の透明化に成功しています。

特定技能人材の雇用には、受け入れ企業自らが多岐にわたる届出と許認可手続きを行う必要があります。改正による様式変更や分野ごとの要件、支援計画の作成・定期報告など、実務負担は大きいものの、的確な法令対応と書類準備を心がけることで、安心して特定技能人材の受け入れが可能となります。最新情報は必ず政府公的サイトで確認しましょう。