マイクロ法人が注目される理由:個人事業主との違い

近年、フリーランスや個人事業主の間で「マイクロ法人」という選択肢が注目を集めています。マイクロ法人は、税金や社会保険料の節約を目的に設立される小規模な法人形態です。本記事では、マイクロ法人が注目される理由と個人事業主との違いを詳しく解説します。

マイクロ法人とは、従業員を雇わず、代表者一人で事業活動を行う会社のことです。法律上は一般的な法人と同じ扱いですが、その運営形態や目的には独自の特徴があります。特に節税効果や社会保険料の軽減を目的として設立されることが多く、フリーランスや個人事業主が選ぶケースが増えています。

以下の表は、マイクロ法人と個人事業主の主要な違いを比較したものです。

項目マイクロ法人個人事業主
法的形態法人格あり法人格なし
設立手続き定款作成・登記申請など複雑開業届提出のみで簡単
社会的信用高い法人に比べて低い
税制法人税適用(所得800万円以下15%)累進課税(所得900万円以上33%)
経費計上範囲役員報酬・退職金・生命保険料など広範囲事業関連費用のみ
社会保険健康保険・厚生年金(会社負担あり)国民健康保険・国民年金(自己負担)
設立費用約10万~25万円0円

このように、マイクロ法人は設立費用や手続きの複雑さがあるものの、節税効果や社会的信用度の向上など、多くのメリットがあります。

1. 節税効果

マイクロ法人では、役員報酬を調整することで所得税や住民税を抑えることができます。たとえば、役員報酬を年間162万5千円以下に設定すると給与所得控除が適用され、税負担が軽減されます。また、法人税率は所得800万円以下の場合15%と低いため、所得が一定以上になる場合は個人事業主よりも有利です。

2. 社会保険料の軽減

個人事業主の場合、国民健康保険や国民年金への加入が必要ですが、マイクロ法人では健康保険や厚生年金に切り替えることで負担を軽減できます。さらに役員報酬額を調整することで保険料も最適化可能です。

3. 社会的信用度の向上

法人格を持つことで取引先や金融機関からの信用度が向上します。これにより融資を受けやすくなるほか、法人限定サービスへのアクセスも可能になります。特に新規事業の立ち上げや資金調達を検討している場合には、大きなメリットとなります。

4. 経費計上範囲の拡大

マイクロ法人では、自分への給与や退職金、生命保険料なども経費として計上できるため、節税効果がさらに高まります。一方で個人事業主の場合は経費計上範囲が限定されており、この点でも差があります。

マイクロ法人にはデメリットも存在します。たとえば設立費用や維持費用がかかること、決算書類作成など経理面での負担が増えることなどです。また、副業として設立する場合は勤務先の就業規則に注意しなければなりません。

マイクロ法人は節税効果や社会保険料軽減など、多くのメリットを持つ一方で設立コストや手続き面での負担もあります。そのため、自身の収入規模や事業内容に応じて慎重に検討することが重要です。特に所得が900万円以上の場合は法人化による節税効果が期待できるため、一つの選択肢として検討する価値があります。